ことりの最終カット

週明けの火曜日、ことりのライセンス前の最終カットの日だ。
前日には獣医さんへ行き目が完治していることを確認。

ことりがライセンスのモデル犬になるか、モデル犬のユキちゃんがモデルになるなるか、決めなくてはならない。

なんとかじっとしていてもらおうと作戦を考え、いつもより一時間早く起きる。

お散歩でじっくり運動してもらえばカットの時は疲れて動かないのではないかと、がんばって起きたのだが、外は真っ暗。

先に朝食をすませていると、ようやく明るくなってきたので外に出る。
朝焼けがきれいだ。

お散歩をすませ、いよいよ学校へ。

学校に着いてしばらくして気がつく。

先週「ちゃんと立てるか楽しみね。」と言っていた担任の先生がいない。
これまで２年近く学校に通って、そんなことは初めてだ。

もしや重病？それとも事故？

心配になってきて、他の先生に訪ねたところ、
「おうちの給湯器が壊れたんですって。」
「は？」
「修理にガス屋さんが来るの待たなきゃいけないから。」

だそうで、あぁ、なるほど。
って、え〜？！

他の先生は今日がことりの最終カットだということは知らない。

最終カットじゃなければ、一人で黙々カットして帰ればいいのだけど、ライセンスで使うかもしれないカットはいい加減には終わらせられない。

いつもよりしっかり目のドライイングの後、他の先生に今日が最終カットなのでと事情を説明して、ドライングのチェックをしてもらう。

何も知らないことりは、昼休みに嬉しげに他の子達がいるケージを覗き込んでいる。

午後はことりが気がちらないように教室の隅にテーブルを移動。
先ほど事情を説明した先生がいないので、隣のクラスの先生に再び事情を説明して、現在の毛の伸び具合とカットの方向性の指導をしてもらう。

時間を計りながら、最終カットを開始。

去年のテストの時と違い、人の移動は多いと思うが始めはけっこうちゃんと立っていてくれた。

が、しばらくしていきなり胃液を吐く。
先生にはおなか空いたんだよと言われる。

疲れてもらおうと朝お散歩させたのがいけなかったのかな。
確かにじっとはしていてくれるけどコンディションを整えるのは難しいものだ。。
心配になりながらも最終カットなのでやめるわけにいかない。

カットを始めて１時間以上たつとやはり少しおちつかなくなってくる。

それでもテストの時に比べれば、ちゃんと前を向いていてくれるし、足回りも切らせてくれる。
顔を持たれるのを嫌がる仕草もない。

ただ軟毛でそろわないのは相変わらずだ。
２時間がたって、先生にチェックをしてもらう。

最終カットなので、きちんと切っておかないと一ヶ月は切れない。
隣のクラスの先生達が最後に２人がかりで修正してくれる。

そろそろモデル犬達が帰る時間で、吠える声が大きく、ことりはおちつかなくなってくる。
先生が足回りを切ろうとしているのに足を上げてしまう。

「先生、今日はことりちゃんと立ってましたよね？
明日担任の先生が来たらそう言ってくれませんか？」
と言うと、
「う〜ん、ちゃんと立ってたってほどでもなかったかなぁ」

「あれ〜？？でも一時間はちゃんと立ってましたよ。。」
「あはは、ライセンスは２時間だからね。」

そ…そうなんですけどね。
でも今日のことりはかなりイイ感じだったんだけどな。。

「先生だったら、モデル犬のユキちゃんとことり、どっちで試験を受けたほうが良いと思いますか？」
「…ユキちゃん」

やっぱり。

先生達が帰ったあと、尻尾をそろえたりしていて気がつくと教室は誰もいなくなっていた。

気が散るものがなくなって、ことりはまたちゃんと立っていた。

こんな静かな教室は初めてだ。
時計の音がカチコチ聞こえている。
って、時間かかりすぎだよ。。私！

６時近くにようやく終了。
広々した教室の片隅にぽつんと机ってなんかさみしいもんだな。

ことりお疲れ様！